何でも食べてやろう

食に貪欲な旅日記

夫の、東京への転勤が決まった日

 

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※私の中のイメージの大都市・魔窟TOKYO

ある日のこと、唐突に夫から「東京に転勤することになった」とLINEが来た。

東京、トーキョー、TOKYO・・・・・・


待てよ。夫が東京に行くということは、当然妻である私も共にここ九州から離れないといけない訳だ。今現在子供も仕事も持たぬ私には、何のしがらみも無い。

およそ2年住み、先日更新料を支払ったばかりのマイスイートホームともお別れか。

窓の前にぴったりと建物が隣接していて日当たりがほぼゼロな点を除けば、とても快適な家であった。日中薄暗く、夏場でもひんやりとした我が家。まるでヨーロッパの小さな修道院か、厳かな儀式が行われる寺院の一室のよう、なんて妄想を膨らませたこともあったな。

 

夫が今の職場で摩耗していて、ずっと環境を変えたいと切に願っていたのを知っているから、転勤それ自体は良いことだと思った。

ただ、一人暮らしの母の存在が気がかりだ。今までもそんなにしょっちゅう会っていた訳ではなかったが、近くに住んでいるというだけで何となく安心感があった。万が一何かあればすぐに駆け付ける事もできる。これからはもう難しくなるのだ。

そして友達のことが浮かんだ。自分から連絡するのが苦手なタチで、学生を卒業してから交友関係は狭くなる一方だ。そんな私と変わらず仲良くしてくれている、たった二人の大切な友達。母同様しょっちゅう会っていた訳ではないが、やっぱり寂しいな。

 あっ、そもそも私、本当に東京でやっていけるのだろうか。あんなに人だらけの都会で。今住む地方都市の人の多さでも、自転車や人とぶつからぬよう気を張って歩くと、酷く疲れ頭がクラクラしてくるというのに。

小さな不安が次々に芽を出し、ムクムクと成長してゆく。

嗚呼、大都会とは正反対の、どこか遠くの南の島へ行きたい。田中一村の絵の風景の中に住みたい。などと、脳の一部が勝手に現実逃避しだす始末。

 

何はともあれ、あと一月とちょっとで新たな旅へ出ないといけないのだ。実は悠長にしている時間はない。

整理整頓・片付けが大の苦手な私には、まず引っ越し作業が強敵であり、大きな大きなハードルなのである。